2018年9月26日~28日にかけて東京ビッグサイトで行われた「アジア最大のスペシャルティコーヒーのイベントSCAJ2018」に行ってきました。
会場はコーヒーのいい香りに包まれる中、世界各国のコーヒーがそれぞれブース出展している他、国内のメーカーやロースターさんが一同に集まり、いたるところで試飲の列ができていました。コーヒーを淹れる器具やコーヒーの淹れ方など、思わず足を止めて話を聞きたくなる大変興味深いイベントでした。

フェアトレード・ラベル・ジャパンさんも出展されていて、フェアトレードの普及のため国内のフェアトレードコーヒーを展示されていました。その中に日本で一番最初にフェアトレード認証商品として販売されたわかちあいプロジェクトの焙煎コーヒー「カフェ・マム」も展示していただきました!

その中で27日に行われたフェアトレード・ラベル・ジャパンのセミナーに参加してきました。現在は世界30ヵ国537の組合があり、約80万人のコーヒー生産者がフェアトレード認証に参加しています。
セミナーではコーヒーの生産国6ヵ国(ブラジル、グアテマラ、インドネシア、インド、エチオピア、ニカラグア)からフェアトレード認証コーヒーの生産者を迎え、品質向上やサスティナビリティへの取り組みについてお話を聞くことができました。

サスティナブルの考え方も生産者と消費者の間で意識の違いが生じている、という話がありセミナーの内容もそのテーマに沿って行われました。
生産国が違えど抱えている問題は同じで、市場価格の不安定、後継者不足、気候変動による作物への影響などを例にどのようにして対策をとっているのか、フェアトレードによってどのように変わったかをゲストスピーカーの皆さんがお話しされました。

グアテマラの小規模生産者の代表、カルロスさんは「これまで消費者のニーズが分からなかったが、フェアトレードによって組合がつくられどんな味のものが喜ばれるのか、コーヒー市場の情報などを得ることができるようになった。さらに輸出国によっても好まれる味が違ってくるので、それを理解し生産の方を合わせていくなどに取り組んでいる。また、生産者組合には女性や若者も加わり次世代につなげていくよう皆で協力し、時には競いながら品質の向上に努め、フェアトレードの最低価格の保証によりモチベーションを維持している」、とお話しされました。

「インドでは7~8月はモンスーン期でこの時期にはモンスーンコーヒーが採れ、毎年生産者は楽しみにしている時期だったのに、今年の8月の豪雨は75年ぶりで洪水の被害があり収穫の40%もの損失があった」と話す。「今回の洪水でいつ何があってもおかしくないことを気づかせてくれた。フェアトレードによりこうした災害や気候変動がコーヒーにどんな影響をもたらすのかを調査する設備をつくり備えることができた」と話してくれました。

参加者からの質問で「どういう思いでコーヒーを生産しているの」と聞かれると、「コーヒーをつくることは仕事ではなくライフスタイル。1年かけて収穫できるもので生産者はみんな自分のコーヒーに自信と誇りを持っている。コーヒーを飲んで笑顔になっている人を見ると努力が報われとても嬉しい」とお答えされました。

特に興味深く、かつ考えさせられたのはヨーロッパやアメリカではほとんどがフェアトレードコーヒーが取引されているが日本ではまだ少ないのはどうしてかという問いに、ニカラグアの生産者は「日本では特に品質が重視され、また甘みや香りなどコーヒーの表現や特徴にこだわる。欧米でももちろん品質も重視されるがそれ以外に生産者の生活の質についての話が出る。バイヤーの立場からも消費者にとっても欧米では生産者がどのようなくらしのもと、このコーヒーがつくられたのかが大切なこと。フェアトレード製品を選ぶということは環境や人権を守ることにもつながるので、日本でも生産者のおかれている状況にもっと関心を持ってもらいたい」と話し、エチオピアの生産者も同様に強く訴えていたことが心に残りました。
「考えてみてほしい。1杯のフェアトレードコーヒーの向こう側で子供たちが学校に行けるようになったこと。きれいな水が使えるようになったことを。」