5月26日(木)に、東京都中央区のイトーキ東京イノベーションセンターSYNQAにて、日本エシカル推進協議会の主催で「持続可能な社会に向けたエシカルラベルの連続シンポジウム」の第一回「エシカルに纏わるラベルと認証制度」が開催され、わかちあいプロジェクトのスタッフが参加してきました。

今回のシンポジウムでは、東京オリンピックが開催される2020年、そしてその先を見越して、エシカルラベルが果たす役割を題材に、フェアトレードラベルをはじめ様々なエシカルラベルを取り扱う団体が出席し、貴重なお話を聞くことができました。

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例えば、森林や水産物、繊維などにそれぞれ認証のラベルがあるのをご存知ですか?FSC認証は、健全な森林の育成をサポートすると同時に、保護すべき森林を伐採しようとする圧力を抑制するものです。このシンポジウムが開催された会場、イトーキ東京イノベーションセンター自体も、FSCの認証を受けているということには驚かされました。周りを見回してみると確かに木でできていて、当日は会場にいる誰もがそのエシカルな空間に感心していました。様々なイベントが開催される他、予約をすれば見学もできるそうなので、興味がある方はぜひ一度足を運んでみて下さい。

 

グローバル化が進むにつれて、普段身につける洋服、口にする食品など、どこの誰がどう生産しどのようにして私たちの元に届いているのか、わからない商品が増加しています。そんな中で商品を選ぶ際に一つの基準となるのがエシカルラベルです。そのほとんどは、原料の調達から流通、加工に至るまでのトレーサビリティに重点を置いています。

フェアトレードの国際認証もその一つです。シンポジウムの第二部に登壇された、フェアトレード・ラベル・ジャパンの中島事務局長によると、世界全体のフェアトレード市場は成長していて、日本でも、2015年の国際フェアトレード製品の市場規模は、推定100億円に達する見込みだそうです(!) フェアトレードは貿易に関わる認証ですが、製品の加工度が高いほど、一次産品の生産状況や労働状況に目が届きにくくなります。自社製品の原材料がどこで誰に作られているか、細かく把握することさえ難しい世の中です。そんな中で、商品の一連のライフサイクルの中でサプライチェーンを追いかけ、それぞれの段階で認証・監査を行っている国際フェアトレード認証は、企業のブランドリスクの回避にも直結するといいます。

事務局長のお話では、昨年フェアトレードタウンに認定された名古屋市で、給食にフェアトレードのごまが取り入れられたこと、国外ではオランダ銀行のユーロ紙幣やロンドン地下鉄職員の制服にフェアトレードの原材料が使われていることなど、興味深い事例が多くありました。

また、国際フェアトレード認証の特徴的な点は、最低価格やプレミアム、禁止する薬品など、産品ごとに「具体的」な規定が定められていることで、その点で、指針や努力目標などを定める団体との違いがあることが感じられました。

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シンポジウムでは、エシカルラベルがついた商品の展示もありました。また、各ラベル団体、そしてその認証を受けようとする企業が多くあり、ラベル普及、認証促進の動きは2020年に日本で開催されるオリンピックを意識して大きくなっているということも分かりました。

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フェアトレード認証商品もずらり!わかちあいプロジェクトのフェアトレードタオル・チョコレート・リップ・石けん・クレヨンなども展示されています

ラベルがついていなくてもどの商品もエシカルである、そんな時代が来るといいですよね。そのために、ラベル認証を促進する団体、認証のために新しい取り組みをする企業に加えて、消費者の意識を変えていくことも大切です。

現在は小学校などの教育機関でもエシカルラベルについて学ぶことがあるそうです。何年かすると彼らが大人になり、また状況も変わってくるかもしれません。

未来の消費行動について、夢を与えてくれると同時に、私たちわかちあいプロジェクトとしても、また、一消費者としても、できることを確実にやっていかないといけない、そんなことを考えさせられるシンポジウムでした。

■当日の様子は、日本エシカル協議会と環境新聞社のサイトでも紹介されています。http://ethicaljp.com/blog/2016/05/30/97