オックスファム編
2001年8月
林 昌宏
アジェンダ21
1992年リオデジャネイロで行なわれた環境と発展に関する国連会議、いわゆる地球サミットにおいて21世紀を控えて新しい経済プログラムであるアジェンダ21を提唱した。この背景には国家間並びに国内での貧富の格差の増大、飢饉、疫病、文盲、自然環境の破壊に世界中の人々が直面しているという危機感がある。環境と発展の問題を統合することにより世界中の人々の生活を改善し、より明るい将来を築いていく必要がある。そのためには持続的発展のための国際的パートナーシップが不可欠であるという認識からこのアジェンダ21は作成されている。
「持続的発展」とは単に環境保全を訴えているだけでなく、新しい経済成長のためのコンセプトとして捉えるべきである。すなわち世界の貴重な資源をこれ以上破壊することなく世界中の人々に公正なる機会を与えていくことにある。アジェンダ21では環境、社会、経済の3つの柱を軸とした「持続的発展」のための地方レベルでの取り組みを示唆している。「持続的発展」は環境の劣化を防ぎながら世界の貧困撲滅を至上課題としており、その対策においては国際的協力体制の下、先進国と途上国の双方が利益を被ることが前提であるとしている。
アジェンダ21の基本理念とは以下の通りである。
1. 持続的発展の最大の関心事は人類である。
2. 地球環境の保全には国際的取り組みが不可欠である。
3. 先進国においては先進国社会が地球環境に負荷をかけていることを自覚し、そのテクノロジーや金融力の観点より地球規模の持続的発展のための重要な役割を担うべきである。
4. 持続性がないと思われる生産体制や消費習慣は改善しなければならない。
5. 貧困撲滅とより公正なる世界の資源配分が環境政策にとって極めて重要である。
アジェンダ21では、持続的発展のためには国際レベル並びに地方レベルでの活動を重視している。地方公共体の持続的発展のための取り組みこそが重要であり、これがイギリスでのフェアトレード・タウン構想の基本理念となっている。
富の偏在と環境問題
途上国に発展と貧困解消問題を犠牲にして温暖化などの環境問題に取り組めと説得したところで無理である。環境問題に取り組むための唯一の方法は公正なる資源分配に基づいた国際的協調関係を構築することにある。
現在の富並びに資源消費の偏在に関する数字は以下の通りである。
■ 世界の裕福層の20%が世界のGDPの86%を保有している。一方では世界の貧困層20%は世界のGDP1%に満たない。
■ 過去30年間で世界の裕福層20%と貧困層20%の所得格差は倍増し、現在ではその比率が74対1に達した。
■ 貧困による子どもの死亡は毎日3万5千人。
■ 人類の5分の1は栄養失調に悩まされ、12億人以上の人々が清潔な飲料水にありつけない。
先進国の消費生活こそが地球環境劣化の最大の原因であり、世界の人口の6%を占めるアメリカ人は何と世界のエネルギーの30%を消費しているとのことである。しかし途上国の貧者は彼らの生産する商品作物や労働に対して公正なる対価を受け取っていないため生き延びるために天然資源の切り崩しに追い込まれている。すなわち無理な牧畜や農業、森林伐採などであり、家族を養っていくために将来の環境を犠牲にしている。
持続的発展とは経済、金融、貿易、エネルギー、農業、産業などすべての分野において経済的、社会的、環境的に持続的であることを目指している。ゆえに持続的発展とは単に環境問題のみを取り扱うのでは達成できず、地球と人類を救う新しい世界的視野が求められている。
グローバリゼーション
人類の相互依存は飛躍的に高まっている。通信手段の発達などにより時間的にも地理的にもその距離はますます縮小している。
グローバリゼーションの特徴を3つ以下に記す。
■ 市場経済の力が国家の役割を縮小させ、また倫理、環境、社会的問題に対する市民の発言権を弱体化させた。
■ 毎日1〜2兆ドルが外為市場を駆け巡っているが、実際は、その5%のみが財やサービスの決済に用いられている。資本はより安い製品を生産するために最低賃金の労働力や最も環境基準の甘い地域をめがけて世界中を駆け巡る。
■ 生産体制と労働市場の変革。現在、経済規模上位100位のうち半分は企業が占めている。上位10社で経済小国100カ国以上の規模となっている。国際貿易の3分の2は500社により行なわれており、そのうちの40%はこれらの企業同士で取引されている。世界の食糧品は大手10社で取り扱われていることになる。世界貿易機構(WTO)が国際ルールを設定し、そのルールは国内の法規を超越することとなった。こうした国際機関が意思決定に際して情報公開を十分に行なわず、また市民に対して閉鎖的であることが、現在、問題となっている。
グローバリゼーションに対する挑戦は国際市場の成長を止めることにあるのではなく、社会的環境的問題を考慮した地域並びに国家システムを構築するためのルールを制定していくことにある。こうした問題を解決することによってのみ天然資源はより正しく配分され、1部の特権階級のみならずすべての人々に恩恵をもたらすことができる。この問題の解決にあたってはグローバリゼーションの枠組みで行なわれることになる。
貿易と発展
第2次世界大戦後、国際貿易は経済成長の強力な推進力となってきた。輸出による外貨獲得は途上国にとって貧困解消へのカギを握っている。現在の国際貿易総額7兆ドルは世界のGDP21%を占めており1970年代の17%から上昇している。中国、トルコ、韓国といった国が国際貿易の恩恵を受ける一方で世界の人口の10%が居住する48カ国の貧しい途上国では過去20年間で国際貿易に占める割合が半分に減り、何と0.4%となっている。
貿易は貧しいものや環境に対して甚大なる問題を引き起こしながら社会的環境的に受け入れがたい搾取を生じさせている。国際市場で貿易される財は、常に真の生産コストを含有しているとは言いがたく、人的社会的環境的な悪影響を無視して安値を追求して取引されている。
1970年から1994年にかけて途上国の食糧輸出額は7倍の1170億ドルに達し、世界の食糧品市場において31%を占めている。しかし実際の価格は低下する傾向にある。多くの途上国の輸出品は1次産品であり、平均して48カ国の最貧国の総輸出額は約4分の3が上位3つの1次産品輸出で占めている。すべての最貧国の輸出総合計に関して4分の3近くが20種類の製品で占められている。こうした最貧国の輸出品目はほとんどが1次産品である。結果として途上国は1次産品市場価格変動の影響をもろに受け、現在の市場価格低迷により経済は混迷を極め、市場回復の見通しは未だ立っていない。途上国にとって国際貿易こそが貧困撲滅、持続的発展へのカギになるのだが、現在のいわゆる“自由貿易”では途上国にとって公正なものであるとは言いがたい。
“自由貿易”の障壁と保護主義
先進国の不公正な輸入障壁や自国産業保護主義を解体することが公正なる国際貿易体制確立に向けた重要なステップとなると思われる。先進国市場を開放することによって途上国全体に7000億ドルの恩恵がもたらされるであろう。これは途上国全体のGDPを12%押し上げ、途上国が受け取る先進国からの援助の10倍に相当する。輸入障壁である先進国の関税について考察してみると最貧国からの輸入製品に対しては他の先進国からの製品よりも平均して30%も関税率が高く、途上国に対する関税は全体として10%高いものとなっている。
また、衣料繊維製品に関して先進国は市場開放を迫られており、市場開放により途上国には年間1270億ドルの増収が見込まれている。
原料から加工品に至るまでの段階ごとに先進国が輸入関税をかける方式が途上国の発展を妨げている。こうした関税措置により途上国は付加価値の転嫁及び技術革新の可能性を奪われている。カカオのケースではカカオ豆、リッカー、バター、パウダー、チョコレートと加工が進むごとに途上国の市場占有率は低下してきている。(90%、44%、38%、29%、4%)一番利潤の高いチョコレートの製造ではほぼ先進国の独占となっている。EU政府のチョコレート製造におけるカカオの含有率削減是認が途上国のカカオ生産者1100万人をさらに貧困へと追いやっている。
補助金
1998年に先進国の農業への補助金は総額3530億ドルに達しており、これは途上国支援総額の3倍に相当する。アメリカやヨーロッパの農民は年間2万ドルの補助金を支給されており、年間200ドルの所得しかないフィリピン農民と国際市場で“競争”している。
途上国は国際協定によって市場開放を迫られ、国際市場には先進国の補助金の支給を受けた安い農産物で溢れかえっているのが現状である。1950年には途上国の農産物の国際市場占有率は50%であったが、現在では25%に低迷している。当然、こうした歪な競争は、食の安全、地方での雇用、貧しい生産者の生活を脅かしている。
WTOについて
WTOは1995年に設立され、国際貿易における財やサービスの移動を円滑にするために関税障壁や規制を削減し、自由貿易を標榜するものである。WTOの働きによっては国際貿易の独立監査機関として途上国に恩恵をもたらす可能性があると思われるが、実際には大企業の独占、多国籍企業の横暴、価格破壊などの不公正を是正することができないことで国際世論より厳しい批判を浴びせられている。多くの途上国はWTOの意思決定過程で十分な発言権が得られていない。WTOは環境や社会的観点を考慮に入れておらず、また、世界の貧者の要求に耳を傾けていないとの批判が上がっている。
WTOによるバナナ裁定の例
EU政府とアメリカ政府のバナナを巡る紛争はWTOの小規模バナナ栽培者救済に失敗した例として記憶に新しいところである。バナナはイギリスで最も親しまれているフルーツであり、世界85カ国で4番目に取引されている作物である。64%の世界貿易を牛耳る3社の多国籍企業がバナナ貿易を独占している。この3社はラテンアメリカにおける大部分のプランテーションを支配下においており、こうしたプランテーションで働く労働者はバナナ店頭価格の1〜2%ほどの労働賃金に甘んじている。ここで収穫されるバナナはアメリカ経済圏に位置することから「ドルバナナ」と呼ばれ、その特徴はサイズが大きく、安値で薬漬けであるという点である。EU政府としてはカリブ諸国やウィンドワード諸島からの優先的輸入貿易政策協定を締結した。この地域でのバナナ栽培の特徴としては4万人の小規模農民による投下資本の少ない農業、サイズが比較的小さくて高値、栽培者への労働賃金がバナナ店頭価格の5〜12%を占める点である。いわゆるACPバナナとよばれるもののイギリス市場占有率は15%となっている。
1993年にラテンアメリカのバナナ栽培業者とアメリカ政府はEU政府を相手取ってEUのドルバナナをEU市場から排除するACPバナナ優先的輸入貿易政策協定に対してWTOに異議を申し立てた。WTOがこの抗議を認めたことでACPバナナ諸国のバナナ栽培農民の生活は脅かされることとなった。こうしたWTOの判断により各国政府の環境や社会に対する外交政策は大きな変更を迫られることとなった。フェアトレード・バナナ誕生の背景には国際バナナ市場の難しさがある。
WTO貿易ルールが環境問題と食の安全に及ぼす影響
WTOが標榜する自由貿易協定により持続的発展を目指すという政策では地球温暖化や種の多様性といった問題に取り組むことができない、あるいはWTOの政策そのものが事態を悪化させているという厳しい批判が多くの専門家より上がっている。
WTOでは自由貿易による価格低下が消費者に恩恵をもたらすという視点にのみ立脚している。WTOのルールは各国政府の法規を超越するものであり、タイの国民の健康を考慮したアメリカからのタバコ輸入制限、EU政府のアメリカ産ホルモン増強による促成飼育牛肉輸入禁止、遺伝子組み換え食品の輸入禁止及び販売の際の表示義務といった点についてWTOと各国政府の意向が激しく対立している。
WTOでは生産地などの製品の如何なる差別化も認めていないが、製造過程で著しい環境破壊や労働搾取などを伴うものについての扱い方について問題が持ち上がっている。遺伝子組み換え食品などの製品そのもののリスクについての捉え方に関しても政治的圧力によりWTOの方針が決定される傾向がある。食の安全が消費者の懸念事項となっている現在、これまでのWTOの政策決定では消費者の安心感を満たすことはできない。ちなみにEU、日本、オーストリア、ニュージーランド、南アフリカでは遺伝子組み換え食品についての表示義務を推進する方向であり、大手バイオテクノロジー企業を擁するアメリカ政府並びにWTOとの調整は難航する模様である。
基本的人権、環境問題、食の安全、公共の利益といった問題が貿易政策よりも優先的に扱われる国際的仕組みが求められており、ここにWTOと市民団体などとの軋轢が生じている。現在の国際貿易は不公正であり、貧困撲滅を標榜しながら、多くの場合、多国籍企業の利益を優先して貧困を加速させているのが現状である。消費者にとっては製品の低価格化をもたらす場合も確かに存在するが、生産過程において環境の悪化を加速させ、また逆に加工製品については不当に高い価格の製品を押し付けられている場合も見られる。さらに地方政府を含めた政府の弱体化により環境や社会的懸念事項に対応できなくなっている。特に1次産品生産者は正当な報酬を受け取っているとは言いがたい。
WTOでは国際貿易、関税障壁、農業、公共事業政策、知的所有権、投資ルールまでの問題を幅広く扱おうとしているが、ルールの制定による政府から市民に至るまでの影響力を考慮すれば、社会や環境問題なども考慮した慎重な議論が求められているのは言うまでもない。
世界市民によるローカルアクション
アジェンダ21で謳われている内容のほとんどは地域での活動により推進できるものである。地域での地方公共体による市民との密接した行動により市民の啓蒙を計りながら持続的発展を具体化していこうというのが国連作成のアジェンダ21の基本理念である。
地方公共体の国内そして国際的影響力
地方公共体によるゴミ減量対策、リサイクル推進、省エネ対策、公共交通機関の充実は国際レベルの環境問題に対しても大きな成果を上げている。地方公共体は世界市民に最も身近な存在であり、市民の安全を確保する役割を担っている。しかし、国際協定により地方政府のこうした役割を捻じ曲げる事態が発生している。例えば、カナダでは地方政府が市民の健康を脅かす恐れがあるとしてセチルアルコール精製の企業の操業を禁止したが、後にこの企業は北アメリカ自由貿易協定(NAFTA)の紛争調停委員会にこの問題を持ち込み、その結果、勝訴し、カナダ政府に対して1300万ドルの損害賠償金を勝ち取った。この判決は世界的批判を巻き起こした。
リオデジャネイロで行なわれた地球サミットをはじめとして数々の国際会議において多くの地方公共体が参加し、改めて環境、公共事業、サービス、行政などに関する地方公共体の持続的発展に向けた役割の重要性が国際的に確認されている。
地方公共体の持続的貿易への取り組み
イギリスでは多くの地方公共体により非政府組織団体や教育機関、フェアトレード推進団体とともにフェアトレードに取り組んでいる。ヨーロッパでは現在、少なくとも1000の地方公共体がフェアトレード製品を進んで購入している。アメリカではサンフランシスコがフェアトレード都市宣言をしており、サンフランシスコ市による財やサービスの購入に関しては、その製造過程にまで遡って労働者搾取や環境負荷などを検証して行なうことを義務付けている。毎年5月8日はフェアトレード・ディとしてサンフランシスコ市民を啓蒙している。持続性のある貿易とはまさにフェアトレードを推進していくことにあると言える。
貿易と意識の高い消費者
昨今の有機栽培食品ブーム、省エネ製品、平飼いニワトリなどに加え、労働者搾取を排除した公正なる製品や製造過程で環境に負荷の少ない製品はヨーロッパ市場において主流製品に育ってきた。こうした製品に対する需要が増えると同時に「企業の社会的責任」や企業の倫理観を求める市民の要求が強くなってきた。市場がグルーバル化することによって企業はブランドイメージの重要性を強く認識しており、消費者並びにメディアに対する対応を誤れば取り返しのつかないダメージを被る危険性を自覚している。
フェアトレードを推進することにより消費者、ビジネス主体、他の社会的機関は基本的人権や経済発展支援のための具体的行動を取ることができるようになった。消費者にフェアトレードの流通経路を保証し、フェアトレード製品を認知しやすくするために独立3者機関が監査、認定、発行するフェアトレード・ラベルが存在する。
フェアトレードの必要性
マーケティングの専門家によればフェアトレードは“第4のトレンド”であるとのことだ。製品の安全性、製品の保存性、環境に優しい製品に続き、環境への配慮に基本的人権などを考慮した社会的観点を加えたフェアトレード製品が最新のトレンドになるとのことだ。フェアトレードを南北の架け橋、または、持続的発展か環境と共同体の破壊の選択肢と捉える向きもある。
人類の4分の1、コーヒーや紅茶の栽培者の60%が絶対的貧困に陥っている。コーヒーや紅茶の店頭価格の約10%が栽培者に対する賃金であり、これでは栽培者は生産コストさえ賄うことができない。多国籍企業は仲買人を通して原材料を買い付けており、製品の流通構造が生産者に対して不当な安値を強いている。原材料の国際価格が低迷しても店頭販売価格には変化がなく、常に生産者にしわ寄せが行く構造になっている。
途上国の生産者は“貧困の罠”から逃れようと公正なる貿易条件を望んでいる。しかしながら国際経済システムは“自由貿易”に席巻されており小規模農民や恵まれない生産者の混迷は深まっている。
フェアトレードとは
フェアトレードとは途上国の生産者の製品に対して公正な価格を支払う、またプランテーションで働く労働者の労働条件や賃金が公正なものであることを保証することである。労働者が受け取る報酬とは生産コストを賄い、さらに将来への事業や共同体への投資を可能にするものでなければならない。公正なる価格で取引することによって生産者や労働者は彼らの家族を養えるようになるばかりでなく、清潔な飲料水や医療施設、教育施設を確保するといった社会的インフラへの投資行為を可能としていく。
フェアトレード・ラベルについて
現在、オランダ、スイス、イギリス、ドイツ、ベルギー、ルクセンブルグ、オーストリア、フランス、イタリア、デンマーク、スウェーデン、ノルウェー、フィンランド、アイルランド、日本、アメリカ、カナダの17カ国がフェアトレード・ラベリング・インターナショナル(FLO)という組織による共通の基準の下に数々の製品に対してフェアトレード・ラベルを発行している。
生産者の製品ごとに基準が定められており、また、小規模生産者やプランテーションで働く労働者によっても基準が異なってくる。
1991年にヨーロッパ議会は議会内でのフェアトレード・コーヒーの導入を決定し、1994年に南北貿易においては公正さを追求するようにとの決意を表明。1997年にはヨーロッパ議会はNGOによるラベル機関の重要性を表明した。
市場調査によれば多くの消費者がフェアトレード製品を支持するとの結果がでた。支持するにあたっては前提条件が3つあることが明らかになった。
■ 製品の品質が従来のものと比べて遜色のないこと。
■ 購買のしやすさ。すなわち専門店まで足を運ぶ必要のないこと。
■ 独立機関によるフェアトレード条件の保証。フェアトレードが単に消費者を引き付けるための商売の道具になっていないこと。
地方公共体の持続的発展支援に関する政策について
地方公共体がフェアトレードやフェアトレード・ラベル製品について啓蒙を行い、また地方公共体がこうした製品を積極的に使用することが持続的発展につながる。
イギリスではノッティンガムを始めとして多くの都市がフェアトレードを市の政策として審議決定されており実行に移されている。
フェアトレードと公共事業の入札
EU諸国におけるすべての財とサービスに関する公共事業の入札に際しては公明正大に競争に基づいた形で実施されなければならないと規定されている。フェアトレード・ラベルなどの客観的規範を用いて入札を行なわなければならず不当にイギリス製品を優遇するようなことがあってはならない。地方公共体としては価格のみをその判断基準としてはならず、費用対効果並びに地方、国、ヨーロッパ、世界の持続的発展に貢献するという基準に準じて入札を行なわなければならないと規定されている。短絡的安値追及でなくこうした入札方針は長期的には安上がりなものになると思われる。資源を枯渇させることなく環境への負荷を弱め世界の貧富の格差を是正していくことは言うまでもなく持続的発展への道のりである。EU政策責任者においてもこの方針は既に共通の理念となっている。
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