生産者・生産地域

マラウイ KCGサトウキビ生産者組合

世界に広がるフェアトレードの砂糖

甘いお菓子に、毎日のお料理に、甘みを加えることで味を生み出す多才な調味料、それが砂糖です。フェアトレードの砂糖は今や広く取り扱われるようになり、フェアトレードチョコレートやクッキー、アイスクリーム、ジャム、ガム、ラム酒など、様々なフェアトレード製品の広がりを生み出しています。
そのフェアトレード砂糖の供給元の中で最も大きな存在の一つが、マラウイのKCGサトウキビ生産者組合です。イギリスのチョコレートメーカーDIVINEフェアトレードチョコレートに使用されているほか、わかちあいプロジェクトのジャムやキャンディ、マカロン、ミルクジェラートなど様々なフェアトレード商品の開発につなげています。近年では日本国内でも、オリジナルのフェアトレードお菓子づくりに取り組む団体が増えています。

背景


世界の砂糖生産の65%は、ブラジル、インド、EU、中国、タイ、アメリカの大規模栽培で独占されていますが、世界のたくさんの小規模農家も砂糖の生産で生計を立てています。
以前はEUが中心となり、途上国の小規模農家の砂糖を輸入していましたが、EUの貿易規則が変わってからは、小規模生産者は厳しい価格競争の世界に追い込まれることとなりました。そして先進国は、大規模なプランテーションから低価格な砂糖を輸入するようになりました。これにより、世界各地の小規模生産者は市場で販売することが難しくなったとともに、ブラジルやインドでも生産効率を上げるため農薬の過剰使用や劣悪な労働環境などの問題が起こりました。フェアトレード機関は、そんな国々の小規模生産者が貿易をするためのパートナーを探すサポートを行いました。また、EU各国政府に対して強く呼びかけ、貿易規則により途上国が受ける衝撃を軽減する方策を取り入れるようになりました。
sugarcrash2015英国のフェアトレード機構は2015年EUの貿易管理に対して警告を発しました(全文はこちら)
フェアトレードは、後発発展途上国を含む、アフリカ、カリブ、太平洋の国々の小規模なサトウキビ農家に着目しています。現在、国際フェアトレード認証を受けた砂糖の80%がこれらの途上国で生産されています。その規模は、小規模生産者組合100団体、6万2千人以上の農家におよびます。
フェアトレードの砂糖は徐々に増えてきています。たとえば2013年のフェアトレード砂糖販売量は、前年に比べ24%も増加しました。これは、フェアトレードが多くの生産者を支え、砂糖産業そのものに良い影響を与えていることを示しています。たとえば、いくつかの国では、フェアトレードを実施するようになってから、パラコートという除草剤の使用を禁止しました。パラコートは消費者の手に届く際には安全ですが、生産・加工過程では人体に危険があるという特徴があったのです。国際フェアトレード認証基準では、フェアトレード砂糖1トンあたり60ドルが、オーガニック砂糖は1トンあたり80ドルが「フェアトレード・プレミアム(奨励金)」として生産者組合に渡り、生産者の自立と地域の発展のために使われます。
◆砂糖の貿易とフェアトレードについて詳しくは英国フェアトレード機構のレポートをご覧ください。 Fairtrade and Sugar (2013 Fairtrade Foundation)

官民連携で貧困からの脱却を


世界の最貧国の一つマラウイで、アフリカ南東部を流れるシーレ川流域にある地域シーレバレーに、サトウキビ生産者組合KCG (Kasinthula Cane Growers’ Association)があります。
マラウイでは、人口の85%以上が農業に従事し、そのうち約90%が小規模農家、識字率も低い国です。換金作物のトウモロコシやキャッサバ、米などは、乾燥した土地では十分には育たず、収入の大半をサトウキビや綿栽培に頼っています。また、長い干ばつが飢饉をもたらす一方で、年2回の雨により洪水が発生し、不安定な食料供給が地域の発展を阻んでいます。
そのような状況の中、マラウイの貧困削減プログラムとして、KCGが1996年にマラウイの政府と砂糖製糖会社Illovo Sugarの共同により設立されました。マラウイの土地をサトウキビ畑のプランテーションに開拓し、生産量を増やし、482人もの農家の収入を支えています。砂糖生産によって、およそ800人に雇用の機会を生み出しました。
illovo_shitesugarKCGは、2003年に国際フェアトレード機関に認証されました。フェアトレードに認証されることで、商品代金に上乗せして、1トンあたり60ドルのフェアトレード・プレミアムを得ることができます。農家の人々は、そのプレミアムを30%は地域開発のために、30%はサトウキビ栽培の効率化のために、40%は学校や家屋の改善に使うことと決め、農家の中から選ばれた委員がプレミアムの基金を管理しています。

フェアトレード・プレミアムの使い道


フェアトレード・プレミアムは、サトウキビ栽培の生産効率を上げる活動のほか、ヘルスケア、安全な水の供給、教育など、地域の貧困を削減するために使われています。たとえば、以前は村に小学校がなく、村の子どもたちが一番近い小学校へ行くために5㎞歩かなければなりませんでした。そのため、7歳か8歳にならないと学校に通うことができなかったのです。小学校へ通い始めるのが遅ければ、女の子は小学校を卒業できずに13歳になり、結婚しなければなりません。しかし、フェアトレード・プレミアムによって新しい小学校ができてからは、5歳から学校に通えるようになりました。今後は小学校を卒業し中学校へ進学もすることができるようになるはずです。
また、プレミアムによって家屋が修理されたおかげで、農家とその家族がよりよい生活を送れるようになりました。ぼろぼろだった家の壁がレンガで補強され、草の屋根が鉄板に変わりました。家畜や農業用とは別に、飲み水用の水桶が設置され、電気を使えるようになった家もあります。
そのほかにはフェアトレード・プレミアムが下記のように使われています。

  • ●地域の高校にコンピューター6個とプリンター3個が寄贈され、子供たちが高等教育に通うための教育費が支払われました。
  • ●井戸が18箇所掘られ、安全で綺麗な飲み水が町へ供給できるようになりました。また一部地域には水道水も供給も始まりました。
  • ●感染により内臓の慢性的な病気になるビルハルジアの治療薬が病院へ寄付され、治療を受けられるようになりました。
  • ●救急の患者を搬送するための自転車4台が購入されました。これにより患者を早急に搬送することができるようになりました。
  • ●家庭に電気を供給するマラウイ政府のプロジェクトに協力しました。初回は82の家庭に設置され、農家がラジオやテレビで情報を得たり、冷蔵庫で暑い地域で食べ物を新鮮に保管でき、照明により子供たちが夜でも宿題に取り組めるようになりました。
  • ●サトウキビの畑は、収穫量を増やし農家の収入を向上させるため、植え替えが実施されました。
  • ●フェアトレード機構の呼びかけによってEUが拠出した15万ポンドの助成金は、400ヘクタール分の生産量拡大のために使われます。肥沃な土地でも定期的な雨がないこの地域では、灌漑設備を必要としていました。EUの助成金によって、大規模な設備が設置され、より多くの農家が新たに砂糖の生産に加わることができました。、組合のメンバーは482人に増え、季節労働者を合わせると800人近くの農家が雇用されるようになりました。また、今後のプログラムによって、さらなる拡大が見込まれています。

わかちあいプロジェクトの商品


フェアトレードの砂糖を使った商品を購入することで、上記のような活動をサポートすることができます。 (※商品の種類は2018年10月現在)

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