世界では、パイナップルやマンゴー、パパイヤなどの果物が毎年およそ6千2百万トンも栽培されていますが、その98%は途上国で作られていると言われています。途上国で暮らす多くの小規模農家は、果物の生産、加工、販売で生計を立てていますが、安定した収入を得ることはとても難しくなっています。アジアのタイのほか、南米のコスタリカやペルー、アフリカのベナン、カメルーン、ガーナ、南アフリカ、トーゴ、スワジランド、ウガンダなどで、毎年多くの生産者がフェアトレードに取り組んでいますが、フェアトレードの取引量は限られています。2011年にアメリカの大手食品企業Doleがフェアトレードのパイナップルとバナナの取り扱いを開始したことで、フルーツ業界のフェアトレード市場の拡大が期待されています。現在、33万トンのフルーツが販売され、1.5百万ユーロのフェアトレードプレミアムが生み出されています(2013-14)。
サムロイヨッド社(Samroiyod Food Corporation Ltd.)は、1978年にトロピカルフルーツの製造・輸出業者として創業しました。地域の生産者組合が栽培したパイナップルやマンゴーなどの缶詰加工、冷凍加工、ジュース加工などを行ない、ヨーロッパやアメリカなど、世界各地へ輸出しています。2008年には、オランダのフェアトレード企業の支援を受けてフェアトレード認証を取得しました。以来、アジア初のフェアトレードフルーツ企業として、地域の農業共同組合や地元政府と協力し、地域の経済発展を目指してフェアトレードに取り組んでいます。サムロイヨッド社は農家へ生産指導や組織づくりのサポートを行い、より品質の良い果物を世界へと送り出しています。フェアトレードの認証を受けたことで、オランダをはじめイタリア、スイス、アメリカ、オーストラリアなど欧米への輸出が広がりました。今では、欧米で人気の高まっている新品種の果物の栽培にも取り掛かっています
フェアトレードに取り組むために生産者組合を設立する以前は、各農家がそれぞれのやり方でばらばらに栽培を行なっていたと話しています。オランダ企業のサポートを受けて組合として農家がまとまり、定例の会合でコミュニケーションをとるようになってからは、情報を交換して協力し合うことができるようになりました。フェアトレード・プレミアムの使い道は、農家から積極的に「今年はこれが必要」「こんな研修がしたい」と積極的に提案され、農家の提案の中から会合で話し合って決めています。フェアトレードによって、収穫する作物に自信を持てるようになり、輸出の意欲も上がりました。
1.社会活動
地域の小学校に楽器や飲料水ディスペンサーなどを購入したり、学生に奨学金を支給しました。また、スポーツ用品や学校で使う備品、学用品の資金を提供する昼食会を学校で開催しました。 6つの異なる地域の保健センターに医療機器を設置し、精神障がい者のランチ会を開催しました。地域で社会的に不利な立場にある人、障害者、高齢者、低所得の支援も行なっています。
2.環境プロジェクト
地域の環境保全のためのキャンペーンを行ったり、かんがい用水を用いてより効率的に水の管理をするためのダム建築プロジェクトを行いました。また、地域の土壌の質を向上させるため、昔ながらの焼畑農業の防止を呼びかけています。
3.組織づくり
毎年、農家の要望に合わせたトレーニングや研修を行っています。例えば、これまでには、効率的で持続可能な水の管理と有機性廃棄物の再資源化に関するトレーニング、化学物質の適切で安全な使用についてのトレーニング、土壌・水・除草の管理についてのトレーニング、生鮮パイナップルの新しい販路を確立するためのトレーニングなどを開催しました。
4.農業の効率化
作物の生産量を最大にし、コストを削減して生産性を向上させるために、土壌の分析や推奨される肥料の使用指導を行いました。また、どのようにして手作り肥料を用意するか、作り方に関する指導を行いました。
5.健康と安全性の向上
組合のメンバーには年次の健康診断を行い、応急手当のトレーニングも提供しています。農園が住宅から10メートル未満の距離にある場合、化学物質による人体への危害を防止するため、畑で化学物質を使用する際には、保護シールドを取り付けています。農薬を使用する際には、安全服を使い、農園にはセーフティサインを取り付けます。
タイ産パインアップル缶 340g(固形量) 400円(税抜) ※現在はお取り扱いがありません