大量の難民が流入しているためタンザニア国内も難民により大きく影響されている。
もともとタンザニアは平和な国でアフリカにしては珍しく1960年の独立以後一度も戦争をしていない。そして初代大統領たるニエレレが難民の受け入れに温和であり、以後周辺諸国(ブルンジ・ルワンダ・コンゴ・エチオピア・モザンビーク等々)から大量に難民が流れてきている。国境付近は難民キャンプだらけであり、例えばブルンジとの国境に沿っては、キボンド地域も含めて11の難民キャンプがある。突然4万人規模の街ができるのだからその影響力は想像できるだろう。
難民キャンプによるタンザニアへの主な影響
@犯罪の増加
難民の中には武器を持ってタンザニアに逃げてくるものもいる。また、食糧難により難民がキャンプの外に許可なく外出し、付近の住民の家を襲うという事件もおきている。難民は許可なくキャンプから外出できないとされ、キャンプ内にはタンザニアの警察が入り警護にあたっているが、タンザニアの幹線バスでのバスジャック、強盗、強姦等あとをたたない。
A土地紛争等
難民キャンプの開設はタンザニア国がUNHCRに土地を貸すことによってなされている。もともと、その土地で生活していた者との土地を巡る紛争がおきる。上記の犯罪の増加も含めてNGOも対策をとるべく、難民や地元の人を対象とするワークショップを開催している(例えば私も出席した「peace education」をテーマにするもの等。そのワークショップではタンザニア人は絶対に難民がキャンプから出ないようにしてくれと意見していた。また、窃盗等をせずにも難民が生きていけるように国連が難民に十分な食料を与えてくれとも提案していた。)
B環境破壊
林を開墾してキャンプにし、その後も難民が住居建築や燃料のために木を伐採する。環境破壊が著しい。新しくキャンプに流れて来た者に対し環境教育がなされている。木を伐採してもよい土地が決められており、それ以外の土地で森林を伐採したものは罰せられる。
C雇用機会の提供
難民のタンザニアへの影響は悪影響にとどまるものではない。大卒者の80パーセントが職を見つけられないという超経済不景気のタンザニアにおいて、多くのNGOや国連は就職の一大市場である。ダルエスサラーム大学を出たタンザニアのエリート達はこぞってNGOに就職している。よって、タンザニア人は戦争が終わって早く難民が国に帰還して欲しいという願いもある一方、そうなっては職を失ってしまうという相反する悩みも抱えている。
またかなりおおざっぱな個人的意見であるが、以上に伴い次のような問題もあるといえよう。国際職員(タンザニア人以外の者)は概して人道的精神に基づいて職を選んでいるゆえ難民問題に真剣に取り組み、多少の犠牲も惜しまない。それに反しタンザニア職員は、(一般的な傾向にあるというにすぎないが、)一般の職を求めるのと同様に給与が良いこと、他に職がないことを理由にNGOで働いている。同様の仕事をしているのであるが、難民に接する態度は結果的にかなり違うのではないかと思う。この私の意見には他の国際スタッフも同意していた。